旧三河島汚水処分場喞筒場施設
東京市区改正事業の一環として、東京市技師米元(よねもと)晋一(しんいち)を中心として建設が進められ、大正11年(1922)3月に「三河島汚水処理場」として運転が開始された、日本で最初の近代的な下水処理施設です。桜の開花時期には、赤レンガ造りの旧主ポンプ室と桜が美しい景観を創り出し、「桜と施設見学会」が開催されます。220本のつつじの開花時期に合わせて「つつじ鑑賞会」も行われ、12月頃にはキャンドルナイトが開催されます。この旧三河島汚水処分場喞筒(ポンプ)場施設は、設立当初から稼動し、平成11年(1999)に引退しました。平成15年(2003)3月に東京都指定有形文化財に、また、平成19年(2007)12月に国の重要文化財(構造物)に指定されました。
住所 荒川区荒川8-25-1
処理施設見学予約 (平日のみ)03-3241-0944
重要文化財見学予約(火曜・金曜を除く)03-6458-3940
(附施設)
ヴァンチュリーメーター
ヴァンチュリーメーターは流量の記録を行います。測定は量水器室内のヴェンチュリー管の頭管(太い部分)と喉管(細い部分)の外周にそれぞれ8箇所ある孔から圧力水が取り出され喞筒室に設置されている記録計に送られました。記録計は英国ジョージ・ケント社から大正11(1922)年に輸入されました。当時の価格で32,860円と高価なものでした
阻水扉室(東)
棟名ふりがな : そすいひしつ
1921(大正10)年
東西阻水扉室よりなる
各鉄筋コンクリート造、面積3.76平方メートル、東西流入渠附属、東西鉄筋コンクリート造上屋付
指定番号 : 02514
国宝・重文区分 : 重要文化財
重文指定年月日 : 2007.12.04(平成19.12.04)
阻水扉を開閉する油圧装置や巻上機を格納する建物です。沈砂池や水路をメンテナンスする際には、阻水扉を閉めて水の流入を一時的に止めていました。昭和37(1962)年に天井に油圧シリンダ吊上用の開口が設置されています。また阻水扉は昭和59(1984)年に油圧シリンダは平成2(1990)年に現在のものに取り換えられています。
(附施設)
土運車引揚装置用電動機室
土運車引揚装置(インクライン)を動かすための電動巻上機が説置された建物で、ここから巻上機の運転操作を行っていました。昭和37年(1962年)にインクライン設備が撤去された際に、巻上機も撤去されています。 しかし現在でも、床に機械基礎の跡を見ることができます。
(附施設)変圧器冷却水用井戸喞筒小屋
(附施設)門衛所
三河島汚水処分場の表玄 関として門衛所、正門が大 正14年(1925年)に整 備されました。 門衛所
庇の下に出勤簿が置かれ出勤してきた職員はここで押印していました。また外来者はここで記帳していました。鉄筋コンクリート造の平屋建で、内部は2部屋。洗面所、便所が配置され巡視員が常駐していました。
阻水扉室(西)
棟名ふりがな : そすいひしつ
1921(大正10)年
東西阻水扉室よりなる
鉄筋コンクリート造、面積3.76平方メートル、流入渠附属、鉄筋コンクリート造上屋付
指定番号 : 02514
国宝・重文区分 : 重要文化財
重文指定年月日 : 2007.12.04(平成19.12.04)
沈砂池及び濾格室(東)
棟名ふりがな:ちんさちおよびろかくしつ
1921(大正10)年
東西沈砂池及び濾格室よりなる
各コンクリート造、面積123.97平方メートル、南面流入渠に接続
指定番号:02514
国宝・重文区分:重要文化財
重文指定年月日:2007.12.04(平成19.12.04)
沈砂池は、下水がこの池の中をゆっくり流れるこ とで下水中の土砂類を沈殿させる施設です。ま た、浮いている大きなゴミはスクリーンで除去し ます。 現在の沈砂池底部から約 1.8m 下に建設当初 の底部があります。横壁部は無筋コンクリート 造で、底部に向い壁厚が厚くなる重力式壁となっています。また横壁にかかる圧力に耐えるほか浮力防止のため、控え壁が築かれています。沈殿した土砂は、沈砂池の両側に布設された レール上を走る揚泥機でかき揚げました。かき揚げた土砂は、横転式の土運車に積まれ、イン クラインによって場内道路まで引き上げられ、場内に布設されたレール上を走行し捨場まで運ば れていました。池数:2池コンクリート造、長19.70m × 幅5.45m×深5.15m、最大水深:3.64m 容量、約306㎡/池 池底部には土砂類を沈殿させる沈砂溜があり、その容量は約 109 m | 池。流 速:晴天時最大 18.2cm/秒、雨天時最大 27.3cm/秒
沈砂池及び濾格室(西)
棟名ふりがな:ちんさちおよびろかくしつ
1921(大正10)年
構造及び形式等 :東西沈砂池及び濾格室よりなる
コンクリート造、面積123.97平方メートル、南面流入渠に接続
指定番号: 02514
国宝・重文区分:重要文化財
重文指定年月日:2007.12.04(平成19.12.04)
濾格室上屋
棟名ふりがな:ろかくしつうわや
1921(大正10)年
構造及び形式等 :鉄筋コンクリート造、建築面積176.27平方メートル、スレート葺
指定番号:02514
重文指定年月日:2007.12.04(平成19.12.04)
揚泥機
大正10年(1921年)竣工 揚泥機は、走行型旋回パケット式で、かき揚げる土砂 の量は57リットル/分、走行速度は15m/分です。
量水器室及び喞筒室暗渠
棟名ふりがな:りょうすいきしつおよびぽんぷしつあんきょ
1920/1921(大正9/大正10)年
構造及び形式等:量水器室、導水室、阻水扉室、喞筒井及び喞筒井接続暗渠よりなる
量水器室 鉄筋コンクリート造、面積79.64平方メートル、水槽附属、鉄筋コンクリート造
指定番号:02514
国宝・重文区分:重要文化財
重文指定年月日:2007.12.04(平成19.12.04)
量水器室
流量を測るためのヴェンチュリー管を設置す るために大正9年(1920年)に整備されま した。 ヴェンチュリー管は中央の管径が細くなっています。細い管の内径:720mm (28 3/8インチ) 太い管の内径:1,219mm (48インチ) 配管の一部を絞ると、細い部分を流れる下水 の速度は、太い部分を流れる速度より速くな り、流れの圧力は反対に小さくなります(ベ ルヌーイの定理)。この圧力差を取り出し流 量を算出するのがヴェンチュリーメーター(記 録計)で、喞筒室に設置されています。
喞筒室暗渠
二系列に分けられて沈砂池を通過した下水は、喞筒井接続暗渠により喞筒室の直前 でひとつとなり、阻水扉室を 通って喞筒井へ流入します。喞筒井は、大きく四つに区切られ、その配置は漢字の「天」 のようになっています。 阻水扉室には、底弁を修理する時に即筒井を締め切るた めの水深の扉体が壁面の フックに掛けられています。また、東側壁には直径0.91 m(3尺)の場内返水管渠が 接続されています。
場内文化財配置図